エナメル革といえば、今やスポーツバッグから一流ブランドバッグまで広く使われている素材です。
ヌメ革など革を全面に押し出した素材よりも比較的お手入れ方法が楽で、扱いも簡単なことから広く使われるようになりました。
そんなエナメル革が実は「 ダンスの相手への思いやり 」から生まれたって事実、みなさんご存じでしょうか?
目次
エナメル革は舞踏会でのダンス相手への思いやりから生まれた
エナメル革は実は舞踏会でのダンス相手への思いやりから生まれた素材です。(※誕生の由来は諸説あります。)
今でこそフォーマルな場ではタキシードにギラリと光沢の美しいエナメル革の靴を合わせるのが当たり前になっています。
が、もちろんエナメル革のない時代にはただ黒い革靴を履いていました。
当時の革靴を黒く美しく保つためには靴墨を塗ることが欠かせず、その靴墨が女性のドレスのスソについて汚れてしまうことが多々あったのです。
特にダンスではパートナーと密着することが多く、舞踏会では悩みのタネだったようです。
エナメル樹脂で完全にコーティング
エナメル革はベースとなる革の上にウレタンなど樹脂でコーティングしています。マニキュアや塗装のクリアトップのようなイメージです。
エナメル革の場合透明な膜で色のついた部分は完全に覆っているので、色落ちの心配がなく、ドレスの裾を汚すこともなくなりました。
また、普通の革ではなかなか出せないガラスのような光沢を出せるため見栄えもよく、フォーマルな場ではエナメル革の靴が当たり前になりました。
ちなみにエナメル革は英語圏ではパテントレザー(Patent Leather)と呼ばれています。
これは1800年代にアメリカでエナメル革を開発した皮革製造業者がパテント(特許)をとったことが由来になっています。
エナメル革の保管方法
エナメル革は樹脂でコーティングされている分、ヌメ革のような経年変化の激しい素材に比べれば断然お手入れは楽です。
が、油断大敵。エナメル革は温度・湿度の変化に弱いためひび割れやベタつきなど致命的な経年変化を起こしやすい素材でもあります。
本革であれば多少のキズや表面の変化は「 エイジングでカッコよくなった 」ともとれますが、ツヤツヤの光沢をもつエナメル革がキズだらけになったりひび割れを起こしたらみっともなくなってしまいます。
きちんとお手入れをしないとむしろ本革よりも寿命は短いと思ってください。
特にひび割れやベタ付きは基本的に補修が不可能です。極端に乾燥する冬場や反対に湿度の高い夏場は保管する環境に気をつけましょう。
普段は購入時についてくるような不織布などに入れて湿気のたまらない通気性のよい場所に保管し、時折取り出して風に当ててあげるのがベストです。
また、紙などをくっつけておかないよう気をつけましょう。
紙自体がエナメル革にはりついたり、レシートや雑誌の印刷された内容が移ってしまうこともあります。
エナメル革のお手入れ方法
エナメル革のお手入れといっても特に難しいことはなく、専用のクリーナーを使って表面を吹き上げるだけでオッケーです。
専用のクリーナーで表面をキレイにしておくことで長持ちするだけでなく、光沢も出てキレイになります。
現在当店では取り扱いがなく申し訳ないのですが、ネット上でも「 エナメル革 クリーナー 」などで検索していただければ専用のものが出てきます。
ほか、東急ハンズでも取り扱いがあります。
エナメル革の光沢でごまかされて見落としがちですが、よく見るとホコリや指紋がついていることが多々あります。
特に指紋の水分、油分は表面のエナメル層に加水分解をおこし、ベタつきの原因になります。使ったらケアをする日ごろのお手入れが大事です。
一度ひび割れやベタつきを起こしたエナメル革は基本的に補修は不可能です。エナメル革のアイテムを手に入れたら、クリーナーを用意し、日々ケアして長く大切に使っていきましょう。