革製のバッグから財布まで、多くの革製品に最もよく使われる革が牛革です。
主流として長らく使われただけあり、ブライドルレザーのように加工方法の種類や、イタリアンレザーといったよう革の産地、加工場所による違いまでたくさんの種類があります。
実は他にも、牛革の素材そのものも種類の分類として存在しています。
風合いや色見などは仕上げ方などはなめしや染色で大きく変わりますが、その厚みや耐久性などは使われる牛革の素材そのものの種類によって大きく変わります。
今回は牛革の特性を理解するにおいて欠かせない牛革の素材そのものの種類について解説します。
目次
ハラコ
胎児、生後間もない子牛の革です。
基本的に死産でもないと製造できないためほとんど出回らず、かないレアで超高級品。
そもそも流通量が極端に少なく、なかなかお目にかかれるものではありません。
安価でハラコとして売られているものはその大半がポニー(馬革)であることがほとんどのようです。
ベビーカーフ
生後3か月までの子牛の革です。
ハラコほどではありませんが、高級なことで有名なカーフスキンの中でも最高級とされます。
カーフスキンに比べ面積もとりにくいため、流通用も少なく希少。
革のキメが非常に細かく、その魅力を活かすため色付けなどは薄めに行うことが多い革です。
カーフスキン
生後6か月以内の子牛の革を使った牛革です。成牛に比べ革の面積がとりにくいため高価になります。
更に重さによってライトカーフ、ヘビーカーフと分類されます。
原皮4.3kg以下がライト、9.5~15ポンドのものをヘビーカーフと呼びます。
キップスキン
カーフスキンの方が高級な革ではありますが、繊維密度はキップスキンの方が高い傾向があります。
そのため薄くても丈夫な特徴を持ちます。
ステアハイド
ステアハイドは生後2年以上経った去勢されたオス牛の革を指します。ほとんどの場合、生後3ヶ月頃から6ヶ月以内の間に去勢されています。
革の大きさは畳二畳ほどにもなり、厚手で耐久性にも優れます。
後述するブルハイドも同じく生後2年以上経った牛の革を指しますが、去勢されたステアハイドの方が革質が柔らかい特徴があります。
特に銀面のキメが細かく、キップスキンにも近い質感。
汎用性が高く、革財布やレザーバッグなど幅広く使用されます。
オス牛は食肉として用いられ、副産物として皮も多く出るため牛革の中では最も一般的。
細かい分類なしに牛革と表記された場合ステアハイドであることが多いです。
ブルハイド
ブルハイドは生後2年以上経ったオス牛の中でも去勢されていない牛の革を指します。
同じ生後2年経過したオス牛同士でもその特性はかなり違いがあり、ブルハイドは牛の革の中でも最も固く丈夫。
反面、
・柔軟さがない。
・去勢されていないオス牛は活動的で大きな傷を作りやすく、革も傷が残りやすい。
などの特性もあるため、見た目が重視されるレザーバッグや財布にはあまり使われません。
しかし他にはない固さと耐摩耗性があるため、その特徴を活かし革靴の底面などに使用されます。
カウハイド
カウハイドは生後2年以上経過しており、出産経験のあるメス牛の革です。
オス牛の革に比べ薄目で柔らかめで、表目のキメが細かい特徴があります。
牛革の種類 まとめ
このように、基本的には牛の年齢と、成牛の場合はオスかメスかによって種類や特性が変わります。
またオスであれば去勢されているか否か、メスであれば出産経験があるかどうかによっても種類が分類されています。
そのほか、牛革はブライドルレザーやヌメ革など、仕上げ方によってもその表情や特性が大きく変わる素材です。
この辺りやコードバンに代表される馬の革や、シープスキンなど牛革以外の革の特徴も一緒にファクタスオム本サイトの基礎知識にて解説しております。
下記リンクより併せてご覧ください。